オリンパス株式会社 · 2026年3月期
顕微鏡から胃カメラへ。オリンパスの1兆円。
オリンパスには、顕微鏡、カメラ、胃カメラという三つの強い記憶があります。けれど2026年3月期の売上を見ると、会社の姿はかなり絞られています。売上は1兆107億円。その69%が消化器領域、31%が外科・治療領域です。1919年に顕微鏡の国産化から始まり、1950年に実用胃カメラを開発し、2021年に映像事業、2023年に科学事業を手放した。数字と歴史をつなぐと、オリンパスは光学メーカーから医療機器メーカーへ突然変わったのではなく、長い時間をかけて「見る技術」を体内へ深く伸ばし、その周りへ経営資源を集中した会社に見えてきます。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
オリンパスと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
顕微鏡。カメラ。胃カメラ。
どれも本当にオリンパスの歴史です。
ただ、2026年3月期の会社を数字で見ると、その三つを同じ重さで並べることはできません。
売上高は1兆107億円
現在の最大領域は、消化器です。
消化器領域だけで6,974億円
中身を見ると、内視鏡本体だけでもありません。
消化器領域の30%はサービス
もう一つの大きな柱が、外科・治療領域です。
外科・治療領域は3,131億円
いまのオリンパスは、二つの医療領域でほぼできている
2026年3月期の事業別売上高。
事業だけでなく、売る場所も日本中心ではありません。
北米40%、欧州28%
日本は10%、海外は約90%
売上の約9割は海外
2026年3月期。海外比率は会社開示の日本10%から当サイト計算。
ここまでを見ると、現在のオリンパスは明確に医療機器会社です。
では、その姿はどこから始まったのでしょうか。
1919年、出発点は顕微鏡
その技術は、やがて人の体の中へ向かいます。
1950年、世界初の実用胃カメラ
顕微鏡と胃カメラの間には、もちろんカメラ事業もありました。
ただ、そのカメラは現在のオリンパスには残っていません。
2021年、映像事業を移管
さらに、創業そのものだった顕微鏡の科学事業も切り離しました。
顕微鏡の科学事業も、Evidentへ
つまり、現在のオリンパスは「カメラ会社が医療会社に変わった」と一言で切り替わったわけではありません。
顕微鏡で始めた「見る」技術が、カメラにも、胃カメラにも広がった。
その後、事業を選び直し、体の中を見る・処置する・治療する領域へ資源を集中した。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
2026年3月期のオリンパスは、売上1兆107億円。
そのうち消化器領域が6,974億円、69%、外科・治療領域が3,131億円、31%です。日本の売上は10%で、海外は当サイト計算で約90%。
現在の数字だけを見れば、ほぼ完全に医療機器会社です。
ただ、その起点は1919年の顕微鏡。1950年には世界初の実用胃カメラを開発し、「見る」技術を体の中へ伸ばしました。
その一方で、カメラの映像事業は2021年に移管し、創業事業だった顕微鏡を含む科学事業もEvidentへ分離・譲渡しました。
オリンパスは昔の光学事業を全部残しながら多角化した会社ではありません。
むしろ、100年以上かけて枝を伸ばしたあと、「見る」技術の中でも医療につながる枝へ経営資源を集中した会社として見ると、現在の1兆円の輪郭がつかみやすくなります。