TOTO株式会社 · 2026年3月期

トイレで磨いた技術が、半導体製造装置へ。TOTOのもう一つの柱。

TOTOと聞けば、トイレやウォシュレットを思い浮かべるのが自然です。実際、会社自身も水まわりの住設事業を基幹に置いています。ただ、TOTOの技術が働いている場所はトイレの中だけではありません。衛生陶器で培った鋳込成形や焼成時の収縮制御、水栓金具の精密研磨が、いまは半導体・ディスプレイ製造装置向けの先端セラミックスに使われています。2025年度にはセラミック事業の売上高・営業利益がともに過去最高を更新しました。水まわりを離れたのではなく、水まわりで磨いた技術が別の高難度市場へ伸びた会社としてTOTOを見直します。

7,374億円2025年度の連結売上高
41%セラミック事業のFY2024営業利益率
約300億円2028年度までに決定済みのセラミック成長投資

投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。

TOTOと聞けば、トイレやウォシュレットを思い浮かべるのが自然です。

そのイメージは、今も本業をかなり正しく表しています。

ただ、TOTOが100年以上かけて磨いた技術は、水まわりの外にも伸びています。

売上は7,374億円

その会社の中心は、今も水まわりです。

住設事業は今も「基幹」

会社の歴史を見ても、その出発点は水まわりです。

1914年に国産初の腰掛式水洗便器

その技術の一部が、1980年代から別の市場へ向かいます。

セラミック事業は1984年に始まった

2024年度の数字を見ると、すでに高収益な事業になっていました。

FY2024のセラミック営業利益率は41%

DATA VIEW

水まわりの会社に、もう一つの技術の柱が育っている

FY2025全社実績とFY2024セラミック事業実績を年次を分けて表示。

7,374億円全社売上 FY2025
過去最高全社営業利益 FY2025
503億円セラミック売上 FY2024
41%セラミック営業利益率 FY2024

そのセラミック事業は、2025年度にも伸びました。

FY2025は売上・利益とも過去最高

面白いのは、この技術が水まわりと切れていないことです。

衛生陶器の成形と、水栓の研磨が半導体部材へ

さらに、焼き物の難しさを解いてきた知見は、精度そのものにもつながっています。

焼成後の誤差は、4メートルで0.003ミリへ

DATA VIEW

技術は、本業の中から別市場へ伸びた

TOTOの水まわりとセラミック事業の主な節目。

技術は、本業の中から別市場へ伸びた
1914 腰掛式水洗便器1914
1980 WASHLET1980
1984 セラミック事業1984
2025 セラミック過去最高FY2025

いまTOTOは、この事業へさらに資本を入れています。

2028年度までに約300億円の成長投資

最後に重要なのは、住設とセラミックを競わせていないことです。

住設とセラミックは「二本柱」

TOTOの技術は、トイレから離れたのではありません。

トイレをつくる過程で磨いた技術が、より高精度で切り替えの難しい市場へ伸びました。

THE VIEW AFTER THE NUMBERS

数字をつなぐと、こう見えた

2026年3月期のTOTOは売上7,374億円で、会社は売上高・営業利益がともに過去最高になったと説明しています。

本業の中心は今も水まわりです。会社自身も日本住設事業を大黒柱と位置づけ、世界でウォシュレットや衛生陶器を伸ばしています。

一方、1984年に始めたセラミック事業では、半導体製造装置向けの静電チャックやAD部材を展開。FY2025には売上高・営業利益がともに過去最高となりました。

その技術は、水まわりと無関係に生まれたものではありません。衛生陶器の鋳込成形、水栓金具の精密研磨、さらに焼成時の収縮・変形を制御する技術が、先端セラミックスへつながっています。

TOTOは「トイレをやめて半導体へ向かった会社」ではなく、トイレをつくる過程で磨いた技術を、半導体製造装置という高難度市場へ伸ばした会社です。

使用した一次資料

水まわりだけではない、もう一つのTOTO

TOTO株式会社 · 2026-03-23

原文を開く →

TOTOグループ 統合報告書2025

TOTO株式会社 · 2025-08-29

使用ページ: p.21 / p.61-62

原文を開く →

NEXT COMPANY

YKK株式会社 · 2026年3月期

次の会社を見る

YKK、売上はファスナーより建材が大きい。

YKKは、ファスナーを捨てて建材へ移った会社ではない。2025年度はAP事業の売上5,576億円がファスニング4,314億円を上回る一方、営業利益はファスニング392億円がAP120億円を大きく上回った。建材事業は1959年、ファスナー用アルミ合金の量産・加工で得た技術を生かして始まった。現在は世界約70カ国・地域に展開し、海外従業員数も国内をわずかに上回る。YKKは、身近なファスナーを利益の強い柱として残しながら、その製造技術から別の大きな事業を育てた会社として見るとつながって見える。

数字から会社を見る →
9,925億円2025年度の連結売上高