株式会社カプコン · 2026年3月期
カプコンは、新作ゲームを売る会社なのか。
ゲーム会社のニュースは、新作の発売と初動販売に集まりがちです。でもカプコンの年間販売5,907万本を分けると、新作は16.3%。残り83.7%は、前期以前に発売したカタログタイトルでした。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
カプコンと聞けば、『モンスターハンター』『バイオハザード』『ストリートファイター』などの新作を思い浮かべます。
実際、新作は会社の成長に欠かせません。ただ、年間の販売本数を分解すると、「新作を出して、その年に売る」というイメージだけでは説明できない数字が出てきます。
1年で5,907万本を売った
5,907万本という規模だけなら、「大型新作がたくさん売れた」と考えたくなります。
でも内訳は逆です。
新作は16.3%。83.7%は、前からあるゲームだった
売れたゲームの5本に4本以上が『前からあるタイトル』
2026年3月期のコンシューマ販売本数。カプコンの区分では、当期発売を新作、前期以前の発売をカタログタイトルとしています。
新作が弱いという話ではありません。新作が出るとシリーズそのものへの関心が高まり、過去作がもう一度売れる。その動きを前提にした売り方になっています。
その長期販売を支えるのが、93%のデジタル販売
古いタイトルを長く売るには、店頭にパッケージを並べ続けなくても、価格や販促のタイミングを変えて世界中へ再び届けられるデジタル販売との相性がいい。
しかも、売る場所も変わっています。
いまやPCだけで54.5%
長く売るための販売網は、かなりデジタル・PC・海外寄り
2026年3月期の総販売本数に対する比率。PCはデジタル版のみ。
この3つを合わせると、旧作を「いつでも」「世界中に」「価格を変えながら」売れる土台が見えてきます。
販売先は244の国・地域
日本で発売したゲームを海外へ輸出する、というより、世界中のデジタル市場を最初から販売先として扱う会社になっています。
その結果、「古いゲーム」の寿命もかなり長いです。
『バイオハザード7』は、2026年3月期にも260万本売れた
ほかにも『バイオハザード RE:2』『デビル メイ クライ5』『モンスターハンター:ワールド』などが、発売後も複数年にわたって販売を積み上げています。
新作は、過去作を再び動かすきっかけにもなる
ここまでを見ると、カプコンの資産は「今年出すゲーム」だけではなく、何年も売り直せるシリーズそのものです。
ただし、そのライブラリは放っておけば勝手に売れるわけではありません。次の新作を作り、別のプラットフォームへ展開し、技術を更新する開発体制が必要です。
開発人員は3,011人まで増えた
そして、すべてのタイトルを同じ内製エンジンで作る
一度作った作品を長く売り続ける会社であるほど、新しいハードやPC、地域へ持っていくための共通基盤は効いてきます。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
数字をつなぐと、カプコンは「新作ゲームを毎年当てる会社」だけではありませんでした。
2026年3月期の販売5,907万本のうち83.7%はカタログタイトル。93.0%がデジタル、89.9%が海外で、244の国・地域へ販売しています。『バイオハザード7』のように、発売から時間が経った作品が一年でなお数百万本売れることもあります。
つまり新作は、その年の売上を作る商品であると同時に、シリーズ全体をもう一度動かす入口でもあります。映像やeスポーツなどでIPの接点を増やし、デジタルで過去作を売り直し、その収益を3,000人超の開発人員とRE ENGINEへ戻して次を作る。
カプコンをそう見ると、会社の強みは「次のヒット作」だけではなく、作ったIPを長く世界で回し続ける仕組みそのものに見えてきます。