東レ株式会社 · 2026年3月期
繊維から、翼と水へ。東レ100年の材料移動。
東レは1926年、レーヨンをつくる会社として始まりました。100年後の2026年、売上は2兆5,851億円。繊維は今も最大の事業ですが、会社の中には炭素繊維、電子材料、水処理膜、医療まで並んでいます。面白いのは、まったく別の事業を買い集めただけではないことです。高分子化学、製糸、製膜、ナノテクノロジーといった材料をつくる技術が、服から飛行機の翼へ、水を通す膜へ、半導体材料へと移ってきました。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
東レは1926年、レーヨンをつくる会社として始まりました。
100年後の2026年、売上は2兆5,851億円です。
ただ、現在の会社を「繊維の会社」だけで説明するのは難しくなっています。
売上は2兆5,851億円
最大の事業は、今も繊維です。
繊維は今も41%
一方で、繊維の外側にも大きな事業があります。
機能化成品は35%
そして、東レの名前を航空機と結びつけたのが炭素繊維です。
炭素繊維は3,001億円
水処理と医療も、別の事業の柱です。
水処理・ヘルスケアは1,668億円
100年後の東レは、繊維だけではない
2025年度の会社開示売上構成比。端数処理のため合計は100%と一致しない場合があります。
どうしてこれほど離れた分野が、一つの会社の中にあるのでしょうか。
会社自身は、4つのコア技術を軸に説明しています。
有機合成・高分子・バイオ・ナノ
その出発点は、やはり繊維でした。
1926年、レーヨンから始まった
事業が広がりすぎて、社名そのものが実態に合わなくなりました。
1970年、「レーヨン」を社名から外した
その頃、繊維の技術は「強くて軽い材料」へ向かっていました。
炭素繊維は、釣り竿から航空機へ
もう一つの材料技術は、繊維のように細く長いものではなく、水だけを選んで通す膜です。
膜が処理する水は、約4億人分
繊維、炭素繊維、フィルム、水処理膜。
見た目はかなり違います。
でも会社の説明では、どれも「材料を分子や微細構造から設計し、狙った機能を持たせる」という長い技術の延長にあります。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
2026年3月期の東レは売上2兆5,851億円。
繊維は今も41%で最大ですが、機能化成品35%、炭素繊維12%、水処理・ヘルスケア6%まで事業が広がっています。
1926年の出発点はレーヨンでした。けれど1970年には、事業実態と社名が合わなくなり「東洋レーヨン」から「東レ」へ改称しています。
1961年に始めた炭素繊維研究は、スポーツ用品を経て航空機の主要構造材へ。水処理膜は世界70カ国へ広がり、会社によれば約4億人分の水量を処理できる規模になりました。
東レは繊維をやめて別の会社になったわけではありません。
繊維で磨いた高分子・製糸・製膜・微細制御の技術を、服から翼へ、水へ、電子材料へ移し続けた会社として見ると、100年の広がりがつながります。