株式会社ニトリホールディングス · 2026年3月期
ニトリは、家具屋なのか。
ニトリと聞けば、家具やホームファニシングを売る店を思い浮かべます。それは間違っていません。2026年3月期のニトリ事業は売上高8,161億円で、グループの中心です。ただ、会社自身は自らを単なる小売業ではなく『製造物流IT小売業』と呼びます。商品が店頭に並ぶ前の原材料調達、製造、貿易、物流、システム開発までを一つの仕組みとして持つ。その長い流れを数字と一緒にたどると、ニトリの店舗が少し違って見えてきます。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
ニトリの店に入ると、ソファ、ベッド、収納、カーテン、食器まで、暮らしに必要なものが一つの空間に並んでいます。
だから「家具やホームファニシングを売る小売業」という第一印象は、かなり正しい。
ただ、決算と会社のビジネスモデルをつなぐと、店頭はニトリの仕事の終点に近いことが分かります。
売上収益は9,122億円
規模だけなら、大きな小売グループとして自然に見えます。
ただ、この1年は売上と利益が同じ方向には動きませんでした。
売上は1.8%減、営業利益は6.7%増
売上が減った年に、営業利益は増えた
2026年3月期の前期比と営業利益率。
では、ニトリの中心は何でしょうか。
まず、小売そのものが大きいことは外せません。
ニトリ事業だけで8,161億円
そのうえで、会社自身が小売の前後をどう説明しているかを見ると、輪郭が変わります。
会社は「製造物流IT小売業」と呼ぶ
これは名前だけではありません。
ビジネスモデルの説明には、商品企画から店舗までの機能が一列に並びます。
店に並ぶ前に、原材料までさかのぼる
その流れは、商品が完成しても終わりません。
物流とITも、店の裏側にある
商品、物流、ITの仕組みは、最終的には大きな店舗網につながります。
国内860、海外209、合計1,069店舗
1,069店舗のうち、国内860・海外209
2026年3月31日時点のグループ店舗数。
海外209店という数字だけを見ると、ひたすら出店しているようにも見えます。
でも内訳を見ると、そうではありません。
中国本土は100店から78店へ減らした
そして翌期は、再び大きく増やす計画です。
ここは実績ではなく、会社が示した計画として分けて見ます。
次の1年は1,212店舗を計画
1,000店を超える店舗網だけなら、「大きなチェーン」で説明できます。
でも、その店舗へ届くまでの仕事を逆向きにたどると、商品企画、原材料、製造、品質、貿易、物流、ITが続いています。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
ニトリは家具屋ではなく物流会社だった、という話ではありません。
2026年3月期のニトリ事業は売上高8,161億円。小売は明確に中心です。ただ、その小売を支える仕事が店の外へ長く伸びています。
原材料までさかのぼり、製造を管理し、貿易を行い、独自の物流網で運び、IT部門がシステムをつくる。会社はこの一連の仕組みを「製造物流IT小売業」と呼んでいます。
2026年3月末には国内860店、海外209店、計1,069店。一方で中国本土では25店を閉め、100店から78店へ組み替えました。次の1年は1,212店を計画しています。
だからニトリを見るとき、店舗数や家具の価格だけを見るより、商品が店頭に着くまでの鎖をどこまで自分たちで持ち、変えられるかを見ると、安さ・利益・店舗網が一つの仕組みとしてつながって見えてきます。