株式会社ニコン · 2026年3月期
ニコンは、カメラの会社なのか。
ニコンと聞けば、カメラとレンズを思い浮かべるのが自然です。実際、2026年3月期でも映像事業は最大の売上セグメントでした。ただし全社売上6,771億円に対して映像は2,900億円、当サイト計算で42.8%。残りの方が大きい。そして会社の歴史を戻ると、カメラより前に顕微鏡があり、1980年には半導体をつくるステッパーへ進んでいました。いまのニコンは、自ら『光利用×精密技術』を有望市場へ展開する会社と整理しています。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
ニコンと聞いて、まずカメラを思い浮かべるのは自然です。
実際、いまも映像事業がいちばん大きい。
ただ、会社全体の半分以上は別の事業です。
売上は6,771億円
このうち、映像事業はいくらでしょうか。
カメラを含む映像事業は、売上の42.8%
映像事業は最大。ただし、全社の半分以下
2026年3月期。42.8%は当サイト計算。
残りには、半導体をつくる装置、顕微鏡や眼科機器、産業用の光学部品、金属3Dプリンターまで入っています。
精機だけで1,672億円
この事業は、カメラのあとに突然生まれたわけではありません。
1980年、国産初の商用ステッパー
実は、カメラより前から別の「見る」事業もありました。
顕微鏡は、カメラより23年早い
ヘルスケアは1,119億円
カメラだけではない、光の置き場所
ニコンが中期経営計画で並べる主な技術・事業の節目。
会社自身は、この共通項をかなり明確に言葉にしています。
「光利用×精密技術」を、有望市場へ
その中でも、次に伸ばす場所は均等ではありません。
稼ぐ事業と、育てる事業を分ける
そして、重点投資先には「カメラ」と「半導体」と「ものづくり」が一緒に並びます。
重点3分野は、シネマ・金属3D・露光
ただし、技術を広げれば、必ず成功するわけではありません。
2026年3月期は、1,124億円の営業赤字
ここまで見ると、ニコンを「カメラの会社ではない」と言うのも違います。
映像事業は最大で、今後も安定利益を生む役割を持つ。
ただ、そのカメラを生んだ光学と精密の技術は、カメラの外へずっと広がっていました。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
ニコンはカメラから別の事業へ転身した会社ではありません。
2026年3月期でも映像事業は最大ですが、売上構成は42.8%。残り57.2%には、半導体・FPD露光、ヘルスケア、産業用光学、デジタルマニュファクチャリングなどがあります。
会社の技術史をたどると、1925年の顕微鏡、1948年のカメラ、1980年のステッパー、2015年の細胞受託生産が一本に並びます。ニコン自身がその共通項を「光利用×精密技術」と呼び、有望市場へ展開するとしています。
一方で、2026年3月期にはデジタルマニュファクチャリングの巨額減損で全社が大幅赤字になりました。広げること自体が成功ではありません。それでも、光で見る・測る・つくる技術を、カメラ、生命、半導体、製造へ配置してきた会社として見ると、現在のニコンはつながって見えます。