キッコーマン株式会社 · 2026年3月期
キッコーマンは、しょうゆを売る会社なのか。
キッコーマンと聞けば、まずしょうゆを思い浮かべます。そのイメージは今も正しい。北米のしょうゆ事業は高い利益率を持ち、2026年には米国第3工場も開きました。ただ、連結売上を分解すると、もっと大きい事業があります。海外の食料品卸売です。数字と歴史をつなぐと、しょうゆを売る会社というより、しょうゆを入口に世界の食文化と流通網を広げてきた会社に見えてきます。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
キッコーマンと聞けば、まず思い浮かぶのはしょうゆです。
そのイメージは、いまも間違っていません。
ただ、現在の売上を地域と事業に分けると、しょうゆメーカーという言葉だけでは見えない大きさが現れます。
売上収益は7,455億円
その売上の中心は、すでに日本ではありません。
売上の約78%は海外
売上の約8割は海外
2026年3月期。海外売上を連結売上で割った当サイト計算。
では、その海外売上の中心は、しょうゆなのでしょうか。
数字をさらに分けると、もう一段意外な構造があります。
最大の売上ブロックは、食料品卸売
ただし、売上が大きいことと、収益性が高いことは同じではありません。
しょうゆを含む製造販売は、今も高収益
大きな卸売と、高収益の製造販売
2026年3月期の海外事業。利益率は当サイト計算。
その高収益の中心に、やはりしょうゆがあります。
北米のしょうゆは、売上1,022億円・事業利益率28.0%
ブランドの浸透度を見ると、その強さはさらに分かりやすくなります。
米国家庭用しょうゆ市場で57.0%
では、なぜその会社が巨大な食品卸売網を持つようになったのでしょうか。
食料品卸売の売上は、2016年度の約2倍
この二つの事業は、偶然同じ会社に入っているわけではありません。
歴史を見ると、ほぼ同じ時期に形づくられています。
1957年に販売、1969年に卸売、1973年に現地生産
会社自身は、卸売をしょうゆ事業を補完するものとして説明しています。
しょうゆと日本食を「車の両輪」で広げた
それでも、しょうゆへの投資は止まっていません。
2026年、米国第3工場。海外では9番目のしょうゆ生産拠点
ここまで見ると、「しょうゆの会社か、そうではないか」という二択ではありません。
しょうゆが海外へ出たから販売網が必要になり、現地生産が生まれ、日本食の普及と相乗効果をつくるために食品卸売まで広がりました。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
数字をつなぐと、キッコーマンは「しょうゆを売る会社」から、しょうゆを入口に世界の食文化と流通網を育ててきた会社に見えてきます。
2026年3月期は売上の約78%が海外で、最大の売上ブロックは4,329億円の食料品卸売です。一方、海外の製造販売は売上1,735億円でも事業利益率が約23.6%あり、北米しょうゆは1,022億円、米国家庭用市場シェアは57.0%。しょうゆは依然として高収益のブランド中核です。
1957年の米国販売会社、1969年のJFC前身への資本参加、1973年の現地生産開始。そして2026年の米国第3工場。しょうゆを現地に根付かせる仕組みをつくり続けた結果、その仕組みが日本・アジア食品全体を世界へ運ぶ事業へ育った。 そこに現在のキッコーマンの大きさがあります。