YKK株式会社 · 2026年3月期

YKK、売上はファスナーより建材が大きい。

YKKと聞けば、服やバッグのファスナーを思い浮かべる人が多いはずです。そのイメージは今も重要です。ただ、2025年度の売上高はAP事業5,576億円、ファスニング事業4,314億円。売上では窓・サッシなどの建材事業の方が大きくなっています。一方、営業利益はファスニング392億円、AP120億円。売上と利益で主役が入れ替わります。しかもAP事業は、ファスナー用アルミの量産技術を広げるところから始まっていました。

9,925億円2025年度の連結売上高
5,576億円 vs 4,314億円AP事業 / ファスニング事業の売上高
392億円 vs 120億円ファスニング事業 / AP事業の営業利益

投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。

YKKと聞けば、まずファスナーです。

服、バッグ、靴。小さな部品なのに、YKKのロゴは世界中で見つかります。

そのイメージは間違っていません。

ただ、グループ全体を見ると、もう一つ大きな柱があります。

まず、グループ売上は9,925億円

その2事業を並べると、最初の逆転が見えます。

売上では、窓・建材のAP事業の方が大きい

DATA VIEW

売上規模では、AP事業がファスニングを上回る

2025年度。事業別売上高はセグメント間の内部売上高を含む。

売上規模では、AP事業がファスニングを上回る
AP事業5,576億円
ファスニング事業4,314億円

単純計算では、AP事業の売上はファスニングの約1.29倍です。

では、いまのYKKは「窓の会社」なのでしょうか。

利益を見ると、もう一度見え方が変わります。

利益では、ファスニングが大きく上回る

DATA VIEW

売上と利益で、主役が入れ替わる

2025年度の事業別実績。売上高は内部売上高を含む。

5,576億円AP事業 売上高
4,314億円ファスニング 売上高
120億円AP事業 営業利益
392億円ファスニング 営業利益

利益率にも差があります。

単純計算の営業利益率は、約9.1%と約2.2%

ここまでなら、「ファスナーと建材の二本柱」という話です。

でも、二つの事業は最初から無関係だったわけではありません。

出発点は1934年のファスナー

そして、この1959年のアルミが二つの事業をつなぎます。

ファスナー用アルミの技術が、建材へ伸びた

その後、1963年にアルミ建具、1965年にビル用アルミサッシ、1966年に住宅用アルミサッシへ広がりました。

さらに、現在のYKKは国内だけの会社でもありません。

海外のグループ会社は101社

従業員数でも、海外がわずかに国内を上回ります。

こうして見ると、「ファスナーか、窓か」という二択ではありません。

AP事業の方が売上は大きい。

それでも利益ではファスニングが強い。

そして、そのAP事業自体が、ファスナーをつくるために磨いたアルミの量産・加工技術から伸びていました。

THE VIEW AFTER THE NUMBERS

数字をつなぐと、こう見えた

数字をつなぐと、YKKは「ファスナーではなく、実は窓の会社」と単純に言い換える会社ではありません。

2025年度はAP事業の売上5,576億円がファスニング事業4,314億円を上回りました。一方、営業利益はファスニング392億円、AP120億円。売上ではAP、利益ではファスナーという二つの顔があります。

しかもAP事業は1959年、ファスナー用アルミ合金の量産・加工で得た技術を建材へ広げるところから始まりました。現在は約70カ国・地域に展開し、海外従業員数も国内をわずかに上回ります。

YKKは、身近な小さな部品を強い利益の柱として残しながら、そのものづくりの基盤から、もう一つ巨大な事業を育てた会社でした。

使用した一次資料

NEXT COMPANY

株式会社日立製作所 · 2026年3月期

次の会社を見る

日立、売上の4割がLumada。

2026年3月期の日立は売上収益10兆5,867億円。4つの主要セクターではConnective IndustriesとEnergyが3兆円を超え、DSSも2.94兆円、Mobilityも1.32兆円あります。その一方で、セクターを横断するLumada事業は4兆1,460億円、全社売上の40%に達しました。Lumadaの56%はデジタライズドアセット、44%はデジタルサービス。HMAXは3,000億円、Adj. EBITA率22%です。日立は物理インフラを手放してデジタル企業になったのではなく、送配電、鉄道、産業設備といった物理アセットをデジタルサービスにつなぐことで、両方を同じ成長モデルに入れています。

数字から会社を見る →
4兆1,460億円FY2025 Lumada事業売上収益