株式会社良品計画 · 2025年8月期
無印良品は、雑貨を売る会社なのか。
無印良品と聞けば、収納用品や文房具、家具などの生活雑貨を思い浮かべます。でも2025年8月期、生活雑貨の売上構成比は46.9%。店舗は海外の方が多く、会社は店舗を『地域のコミュニティセンター』にすると掲げています。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
「無印良品」は、商品そのものの印象がとても強いブランドです。収納用品、文房具、家具、衣料品、レトルトカレー。店に入ると、同じ考え方で作られたものが静かに並んでいます。
だから、良品計画を「雑貨を売る会社」と捉えたくなります。
ところが数字を追うと、会社が作ろうとしているものは、商品棚よりずっと広いことが分かります。
まず、売上は7,846億円まで大きくなった
ただし、その売上の中身は「生活雑貨」だけではありません。
生活雑貨は、売上の半分を切っている
売上は『雑貨だけ』ではない
2025年8月期の商品別営業収益構成比。
そして、その売場は日本だけに広がっているわけでもありません。
海外の店舗数が、国内を上回った
店舗数では、すでに海外が過半
2025年8月末。ライセンスドストア、Café&Meal MUJI、IDÉEを含む。
「無印良品の店」は、国内の生活雑貨店というより、世界各地の生活圏に置かれたネットワークになりつつあります。
店の外にも、1,750万人との接点がある
ここまでは、大きな小売企業として理解できます。良品計画が少し変わっているのは、店舗に別の役割まで持たせようとしているところです。
会社自身が、店舗を「コミュニティセンター」と呼ぶ
店舗の活動ページでは、地域の食品・工芸を扱う「つながる市」、ワークショップ、防災活動、生鮮食品、移動販売なども紹介されています。店舗を「買う場所」だけにしないという方針は、かなり具体的です。
売った商品を、店に戻してもらう
店舗は『売って終わり』の場所でもない
2025年8月期の資源循環に関する実績。
商品を売る入口としてだけでなく、使い終わった商品を回収し、もう一度流通へ戻す出口としても店舗を使っています。
さらに「商品」ではなく、泊まる場所までつくる
家具を売るだけでなく、その家具や日用品が置かれた「暮らし方そのもの」を体験する場所まで事業にしています。
そして、2028年には1兆円を超える規模を計画している
増やす店舗も、海外の方が多い
3ヶ年ローリング計画の年平均店舗純増数。
つまり良品計画が増やそうとしているのは、単なる「無印良品の売場」ではありません。衣・食・住を売り、アプリでつながり、地域活動を行い、使い終わった商品を回収し、ときには宿泊の入口にもなる拠点です。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
数字をつなぐと、良品計画は「デザインの良い雑貨を売る会社」だけではありませんでした。
生活雑貨は売上の46.9%。海外店舗数はすでに国内を上回り、国内アプリには年間1,750万人のアクティブユーザーがいます。その店舗を会社自身が「地域のコミュニティセンター」と位置づけ、年間数千回の地域活動、商品の回収と再販売、さらに宿泊まで広げています。
無印良品の商品に共通するのは、生活の基本を整えることです。そして会社が広げているのは、商品の種類だけではなく、日常生活と接する場所そのものでした。良品計画は、雑貨店というより、世界各地で「暮らしの接点」を増やしていく会社として見ると輪郭がはっきりします。