日東電工株式会社 · 2026年3月期

電池を外す日に備える日東電工のテープ

日東電工は、スマートフォンや自動車などをつくるメーカーに、部品を固定するテープや画面に使う光学フィルムを供給する材料メーカーです。スマートフォンの電池を取り付け、後から外しやすくするテープも手がけています。

スマートフォンの筐体から電池が浮き上がり、薄い粘着材と材料ロールが並ぶイラスト

電池を固定するテープの需要を、なぜ「剥がしやすさ」が増やすのでしょうか。スマートフォンを組み立てるときと、その後に修理するときでは、同じ接着部分に求められる働きが変わります。

使う間は固定し、交換するときに外す

固定する接着面に、外すための仕組みを入れる

電池と筐体の接着部分を大きく描いた模式図。粘着層の両側に導電面を置く構造の例です。

  1. 1使用中はしっかり固定

    筐体の中に収まる電池と、その下の銅色の粘着層を拡大した断面。粘着層が二つの導電面の間にある。電池粘着層

    電池の下にある粘着層が、筐体側の面と接着しています。

  2. 2粘着層の両側へ電圧をかける

    外部の電圧源を粘着層の上下の導電面につなぐ模式図。剥離成分が下側の界面に集まる。外部の電圧

    剥離成分が界面に集まり、接着力が下がります。

  3. 3接着面から電池を取り外す

    電池と粘着層が上へ持ち上がり、筐体との間に隙間ができた断面図。接着面が剥がれる

    電池を筐体から分離し、交換や材料の分別をしやすくします。

厚さや形状は実物と比例していません。電圧をかける接着部分を示しており、電池の端子に通電する図ではありません。実際の構造・条件は用途によって異なります。修理手順を示すものではありません。

出典:日東電工「電気剥離テープ」

部品を取り外せれば、電池を交換したり、解体時に異なる材料を分けたりしやすくなります。日東電工が売るのは、完成したスマートフォンに組み込まれる材料です。端末メーカーにとっては、固定の強さと取り外しやすさの両方を製品に持たせる手段になります。

顧客の工程を通っても、剥がせる状態を保つ

試験で剥がせる材料をつくり、その性能を顧客の組み立て工程に合わせ、必要な量を届ける。テープの実用化には、材料設計から供給までの仕事が伴っています。

採用拡大が現れた2026年3月期

DATA VIEW

テープ事業全体の売上収益は増えた

インダストリアルテープの連結セグメント売上収益(億円)。各3月期の通期実績を0起点の同じ尺度で比較。電気剥離テープだけの売上ではありません。出典:統合報告書2026 PDF p.49(誌面p.48)。

テープ事業全体の売上収益は増えた
2025年3月期3,518.29億円
2026年3月期3,666.07億円

採用モデルが広がると、日東電工の材料が組み込まれる対象も増えます。一方、端末や自動車などの生産動向も、テープ事業全体の販売に影響します。新工場は、こうした既存の販売に続く需要を見込んで、供給力を増やす計画です。

剥がす技術を、次の用途でも生かす

CONCEPT MAP

一枚のテープを、組み立てから取り外しまで

電気剥離テープをめぐる役割の整理。新工場はこれらの用途を支える複数の粘着材料を対象とする計画です。

固定と剥離を設計日東電工の粘着材料
  1. 日東電工が供給顧客の工程に合わせて材料と品質を確認
  2. 端末メーカーが組み込む使用中の電池をしっかり固定
  3. 修理・分解時に取り外す電圧で接着力を下げ、電池交換や分別を支援

THE VIEW AFTER THE NUMBERS

数字をつなぐと、こう見えた

日東電工の電気剥離テープには、貼っている間と、外すときの二つの役割があります。顧客の工程でも性能を保てるように調整し、修理を見据えた端末設計に材料を届けています。

2026年3月期には採用モデルが広がり、テープ事業全体も増収となりました。その先にある約390億円の豊橋新工場は、電気剥離テープや折り畳み端末向け粘着材料の供給力を増やす計画です。剥がす瞬間に求められる性能が、日東電工の研究と、次の設備投資につながっています。

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投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。

使用した一次資料

豊橋事業所に新工場を建設・総額約390億円を投資

日東電工株式会社 · 2025-12-23

原文を開く →

Nittoグループ統合報告書2026

日東電工株式会社

使用ページ: p.26 / p.33 / p.49

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