三菱重工業株式会社 · 2026年3月期
売上5兆円、受注残13兆円。三菱重工の時間軸は長い。
三菱重工の決算を見ると、売上だけでは会社の大きさがつかみにくいことがあります。2026年3月期の売上収益は4兆9,741億円。それに対して受注高は7兆6,536億円、年度末の受注残は13兆2,376億円でした。発電設備、化学プラント、航空・防衛・宇宙。大型案件では、契約から設計、製造、納入までに時間がかかります。1884年に長崎の造船所から始まった会社を「何を売ったか」だけでなく、「どれだけ先の仕事を抱えているか」という時間軸から見直します。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
三菱重工の決算には、売上より大きな数字が二つ並びます。
受注高と、受注残です。
売上収益は4兆9,741億円
同じ年度に、新しく入った仕事はもっと大きい。
受注高は7兆6,536億円
そして、まだ売上になっていない契約の積み上がりがあります。
受注残は13兆2,376億円
一年の売上だけでは見えない三つの規模
FY2025。受注高は期間中の新規受注、受注残は年度末時点の未消化受注で、売上収益とは性格の異なる指標です。
なぜ、これほど受注の数字が大きくなるのでしょうか。
現在の事業を分けて見ると、長い時間をかけて設計・製造する大型システムが並んでいます。
エナジーは2兆626億円
航空・防衛・宇宙は1兆3,938億円
プラント・インフラは8,808億円
物流・冷熱・ドライブは6,308億円
現在の売上を支える四つの事業群
FY2025の売上収益。旧三菱ロジスネクスト関連事業を除く継続事業ベース。
この会社の「長い時間軸」は、事業の始まりにもあります。
1884年、長崎造船所から始まった
やがて、造船所で扱うものは船だけではなくなります。
1934年、船・重機・航空機・鉄道車両へ
現在はさらに大きなグループです。
78,793人、連結246社
売上は、その年度に完成・進捗した仕事を表します。
受注は、新しく約束した仕事。
受注残は、すでに契約していて、これから進める仕事です。
三菱重工では、この三つを一緒に見ることで初めて、会社が動いている時間の長さが見えてきます。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
2026年3月期の三菱重工は、売上収益4兆9,741億円、事業利益4,322億円。
一方で受注高は7兆6,536億円、年度末の受注残は13兆2,376億円でした。
現在の売上ではエナジーが2兆626億円で最大。航空・防衛・宇宙が1兆3,938億円、プラント・インフラが8,808億円、物流・冷熱・ドライブが6,308億円です。
1884年の長崎造船所から始まり、1934年には船だけでなく重機、航空機、鉄道車両まで扱う会社になりました。
大型設備や航空・防衛・宇宙の仕事は、受注した年にすべて売上になるとは限りません。
だから三菱重工は、一年の売上だけでなく、何兆円分の仕事を先に受け、何年かけて形にしていく会社なのかを見ると、その大きさがわかりやすくなります。
受注残は将来売上の保証ではありません。それでも、売上5兆円の背後に13兆円を超える未消化の仕事があるという数字は、この会社の時間軸をよく表しています。