コクヨ株式会社 · 2025年12月期
帳簿の表紙から、オフィス空間へ。コクヨ120年。
コクヨと聞けば、キャンパスノートや文具を思い浮かべる人が多いはずです。そのイメージは今も正しい。ただ、2025年の事業別売上を見ると、一番大きいのは文具ではなくファニチャーです。売上1,722億円で、ステーショナリー836億円の約2倍。しかもこの広がりは突然の多角化ではありません。1905年の仕事は帳簿そのものではなく「表紙」だけ。そこから帳簿全体、紙製品、書類をしまうキャビネット、家具、そして働く空間へと、一つ隣の困りごとを追うように事業を広げてきました。
投資判断や銘柄推奨を目的とした記事ではありません。企業が公開した一次資料を、会社の輪郭が見えてくる順番で読み直しています。
コクヨと聞いて、最初に浮かぶのはキャンパスノートかもしれません。
文具の会社という印象は、今も間違いではありません。
ただ、2025年の事業別売上を並べると、一番大きいのは別の事業です。
売上高は3,599億円
最大のセグメントは、ファニチャーです。
ファニチャーは1,722億円
一方、なじみの深い文具も依然として大きな事業です。
ステーショナリーは836億円
ただし、規模を比べると差があります。
家具の売上は文具の約2.06倍
現在の売上規模は、家具が文具の約2倍
2025年のセグメント売上高。セグメント間取引・調整があるため連結売上比率ではありません。
家具と文具の間には、もう一つ大きな事業があります。
ビジネスサプライ流通は1,084億円
2025年の4つの主要事業
各セグメントの売上高。事業間取引を含むため単純合計は連結売上高と一致しません。
どうして文具で知られる会社の家具事業が、ここまで大きくなったのでしょうか。
歴史をさかのぼると、最初から完成品の帳簿を売っていたわけでもありません。
始まりは、帳簿価格の5%だった表紙
表紙から帳簿へ。帳簿から、周りの紙製品へ。
1908年に帳簿、1913年から洋式帳簿
その流れが「紙」から「金属」へ進んだのが1960年です。
書類をつくっていた会社が、書類をしまう家具へ
さらに、家具を売るだけではなく「働く空間」を見せ始めます。
1969年、本社そのものがライブオフィスに
現在、会社はその範囲をさらに広く言い表しています。
「文具・家具」から、Work & Lifestyleへ
コクヨは、文具を捨てて家具会社になったわけではありません。
帳簿の表紙から始まり、その帳簿をつくり、周辺の紙製品をつくり、書類をしまう家具をつくり、オフィス全体を見せるようになった。
事業の境界を動かしてきた方向は、意外なほど連続しています。
THE VIEW AFTER THE NUMBERS
数字をつなぐと、こう見えた
2025年のコクヨは、売上3,598.76億円、営業利益262.47億円。
事業別では、ファニチャーが1,721.96億円、ステーショナリーが835.72億円。同じセグメント開示で比べると、家具は文具の約2.06倍の売上規模です。ビジネスサプライ流通も1,083.69億円あります。
だからといって「コクヨはもう文具会社ではない」とする必要はありません。
1905年の祖業は、帳簿価格の5%にすぎなかった表紙。そこから帳簿全体、紙製品へ広がり、1960年には書類をしまうファイリングキャビネットへ進出しました。1969年には本社をライブオフィスとして公開し、家具の先にある働く空間まで提案しています。
現在は自らをWork & Lifestyle Companyと再定義しています。
120年をつなぐと、コクヨは商品カテゴリーを何度も捨てた会社というより、「働く・学ぶ場所で、次に必要になるもの」を一つ外側へ足し続けてきた会社に見えてきます。